パソコンやスマートフォンが欠かせない現代、目のかすみや疲れとともに「目が赤い」「充血している」という症状に悩まされる方が増えています。
見た目にも不快で、人前に出るのが気になる、目薬を差しても改善しない――そんな「目の充血」に悩むあなたへ。
本記事では、東洋医学の視点から「目の充血(目赤)」の原因と分類を丁寧に解説し、体質や状態に合わせた鍼灸アプローチ、セルフケアのポイントをお届けします。
眼精疲労シリーズ第2弾として、目の健康と全身のバランスの関係性を理解し、鍼灸院でできる東洋医学的サポートについてもご紹介します。
慢性的な充血や目の違和感を、根本から改善したい方はぜひ参考にしてください。
目の充血(目赤)とは?なぜ目が赤くなるのか

「目が赤い」「白目部分が充血している」という状態は、東洋医学では「目赤(もくせき)」と呼ばれています。
眼球の白い部分が赤くなる現象で、片目に出ることもあれば、両目に現れることもあります。
目の赤みは、体内に発生した「熱」が上半身に上り、目に集まることが主な原因とされます。
この「熱」は、ストレス、加齢、内臓の疲れなど、様々な要因によって発生します。
西洋医学と東洋医学、それぞれの視点からみる目の充血
西洋医学では、目の充血は主に「結膜炎」などの炎症や感染によるものとされ、アレルギー性・ウイルス性・細菌性と分類されます。目薬や抗菌剤などによる対症療法が基本です。
一方、東洋医学では、目の充血は「五臓六腑の乱れ」や「気・血・水の失調」によって生じるとされ、症状の背後にある体質や生活習慣に目を向けます。
東洋医学でみる目赤の内因性パターン
五臓の「肝」は目に通じるとされている。ゆえに「肝」のトラブルは目症状として現れやすい。
肝胆火盛(かんたんかせい):ストレス・怒りの熱タイプ
長期間ストレスにさらされること、怒りの感情を蓄積することはは「肝」の働きに異常をもたらす。
鬱々とした状態は体内に熱を生じさせてしまい、目に昇ってしまい目赤が生じる。
【特徴】
- 両目が鮮やかな赤色に
- 目の張るような痛み、ズキズキor 張ったような頭痛、口の苦み、胸脇部の張りなど
【セルフケア】
- 夜更かしを避けて早めの就寝
- イライラをためず、ストレッチや軽い運動で気を巡らせる
【主なツボ】:清肝泄胆・清肝降火の効果のあるもの
陽輔(ようほ)・行間(こうかん)・光明(こうめい)など

肝腎陰虚(かんじんいんきょ):加齢・慢性消耗タイプ
長患い、加齢によって体の保湿レベルが下がった結果、目に潤いや栄養がいかなくなることで生じる。更年期に生じやすい。
【特徴】
- 目の淡紅色、ドライアイ傾向、午後になると悪化
- 両頬の熱感が生じる、寝汗、手足のほてり、舌は紅く少苔
【セルフケア】
- 充分な睡眠と休養を取る
- 刺激物や飲酒、カフェインの摂取は極力控える
【主なツボ】:滋陰養血の効果
復溜(ふくりゅう)・陰郄(いんげき)・睛明(せいめい)

酒毒内熱(しゅどくないねつ):飲酒・湿熱タイプ
アルコールが原因で体内に熱が生じることが原因。
【特徴】
- 目の黄赤色、乾燥、重だるさ・目脂が多い
- 頭重感、舌苔が黄色厚く、便はベタベタしてすっきりしない
【セルフケア】
- 飲酒や脂っこい食事を控える
- 蒸し暑い環境では除湿・冷房を活用
- 軽く汗ばむ運動で湿熱を発散
【主なツボ】清熱利湿の効果があるもの
然谷(ねんこく)・小腸兪(しょうちょうゆ)・曲池(きょくち)など

東洋医学でみる目赤の外因性パターン
外感風熱(がいかんふうねつ):気候変動や外気によるもの
高温の気候、アレルギー物質など熱性のある外的環境が加わることで生じる。
【特徴】
- 突然の赤み、熱感ある涙、異物感やまぶしさ
- 発熱、寒気、鼻づまり、頭痛などの風邪症状を伴うことも
【セルフケア】
- 外出後の洗顔・うがい・手洗いを徹底
- 首を外気にさらさないような服装を意識する
- 発熱時は安静を保ち、温かい飲み物で汗をかく
【主なツボ】:疏風清熱の効果があるツボ
天井(てんせい)・完骨(かんこつ)・攅竹(さんちく)など

天行時邪(てんこうじじゃ):ウイルス・細菌感染タイプ
伝染性や流行性のあるいわば「流行り病」によるもの。アデノウイルス感染による「流行性角結膜炎」での目の充血するイメージ。
【特徴】
- 急性の発症、強い伝染性
- 目の赤み、熱感、乾燥、違和感、まぶしさ
【セルフケア】
- 目をこすらない、タオルの共有を避ける
- 目が辛いときは安静を最優先に
【主なツボ】疏風清熱解毒の効果のあるもの
霊台など

邪熱伏絡(じゃねつふくらく):疲労蓄積・目の酷使タイプ
一定期間治らなかったり、長期間細かい作業を行い、目を酷使することがきっかけとなる。
【特徴】
- 慢性的な淡紅色の充血、午後以降に強まる
- 涙目、まぶしさ、軽い痛み、慢性眼精疲労の一部
【セルフケア】
- 目を使う作業は1時間ごとに5〜10分休憩
- ホットアイマスクや蒸しタオルで目元の血行促進
- ブルーライト対策眼鏡やディスプレイ調整も有効
【主なツボ】:宣捜熱散瘀の効果のあるもの
外関(がいかん)・懸釐(けんろ)など

鍼灸による目の充血へのアプローチ

鍼灸では、以下のような施術で「目赤」の改善を目指します。
- 局所と全身のツボ刺激:目の周囲+内臓に関係する経絡を同時に整える
- 熱の排出と気血の巡り改善:目に滞った熱を冷まし、体のバランスを取り戻す
- 自律神経の調整:ストレス性の目赤にも対応
- 症状と体質に応じたオーダーメイド施術:実熱・陰虚・湿熱など状態別に対処
日常でできる東洋医学的セルフケア
- 温熱ケア:ホットタオルや温アイマスクで目の緊張を緩める
- 時間管理:1時間に1回は目を休め、遠くを見る習慣を
- 睡眠と食事:7時間以上の睡眠、黒ごまなど「肝」「腎」を養う食事を
- ストレスケア:深呼吸・ストレッチ・おしゃべりも立派なセルフ養生
- 目のツボマッサージ:攅竹・太陽などを優しく指圧するのも◎

白楽の鍼灸で目と全身の調和を取り戻そう

目の充血は、単なる炎症や目の使いすぎのサインではなく、体全体のアンバランスを知らせる信号です。
東洋医学では、五臓六腑や経絡のバランスを整えることで、目の症状だけでなく体の根本から整えていきます。
横浜市神奈川区六角橋・白楽エリアにある「鍼灸マッサージ院 如月」では、あなたの体質・症状に合わせた丁寧な施術で、目の不調を根本からケアいたします。
「目薬では治らない」「原因不明の充血が続いている」――そんなお悩みのある方は、ぜひ一度気軽にご相談くださいませ。
▼シリーズ第1弾もぜひご覧ください

※参考文献
・『漢方用語大辞典」 燎原書店
・『中医症状鑑別診断学』人民衛生出版
・『十四経発揮』 東医針法研究会編