睡眠の質に関わる食材・栄養素についてーメラトニンを中心にー

目次

はじめにー魔法の栄養素は存在しない

Q「睡眠に良い食事や栄養素ってありますか?」

A:非常に回答に困ってしまう質問です。確かに、食と睡眠の質に関する研究報告は存在する。

キウイを代表するフラボノイド含む果実で睡眠の質UP

・ビタミンB7(ビオチン)で不眠症状の改善

・多価飽和脂肪酸が豊富に含まれている地中海料理は不眠や短眠に悩ませることが少ない。

・「グリシンで深部体温低下

魚介類(えび・帆立・イカ・カニ・カジキマグロ)・(ほうれん草・枝豆・グリンピース・ブロッコリー・ニンニク)など

ただし、「特定の栄養素を摂ること=快眠」というわけではない印象です。

「睡眠に良い食事」=「栄養バランスが整っている健康的な食事」

つまり野菜+果物を中心とし、1日に必要なビタミン+栄養素を摂取することが何よりも大切。

そのような前提を踏まえて、睡眠ホルモン「メラトニン」がどのようにつくられるかを述べていきたいと思います。

睡眠ホルモン「メラトニン」とは?

まずは「眠りのつくり方」を簡単にご紹介。

人間は2つのシステムによって、「睡眠がコントロール」されています。

❶夜が来たから寝る

❷疲れたから寝る

「❶夜になったら寝る」のはイメージがつきやすいと思いますが、

「❷疲れたから寝る」というのはどういうことでしょう?

学生時代のマラソン大会が終わった時をイメージしてください。

「あーめっちゃ疲れた…もうダメ…」 昼過ぎにも関わらず、とても眠くなりませんか?

これって疲労物質「アデノシン」が産生された結果、覚醒物質の分泌を抑制してしまうのです。

ゆえに人間はクタクタとなってしまい、眠くなってしまうのです。

一方で「❶夜が来たから寝る」という機能に関わっているのが「睡眠ホルモン=メラトニン」

なんとなくイメージできましたでしょうか?

それでは、メラトニンはどうやって作られていくのか見てみましょう。

「メラトニン」がつくられるまで

全体の流れとしては、上記画像のイメージです。

イメージとしては、どんどんどんどん進化するような感じでしょうか?

ドラゴンボール:悟空⇨スーパーサイヤ人⇨スーパーサイヤ人3

ポケモン:フシギダネ⇨フシギソウ⇨フシギバナ

こんな形で睡眠ホルモンも変化の過程で、産生されていきます。

トリプトファン⇨セロトニン⇨メラトニン

トリプトファンからセロトニン、そしてセロトニンがメラトニンになるのですね。

つまりトリプトファンを食事として口にすることが必要なのです。

それではどの食材にどのくらいトリプトファンが含まれているかを見ていきましょう。

食材別トリプトファン含有量ランキング

卵・豆類・牛乳などが豊富ですね。

特別な食材でもなく、意識しなくても日常的に口にしているのではないでしょうか?

トリプトファンの必要な栄養量は、年代別で異なると言われております。

調理法により栄養素が損なわれる可能性は考えてみても、不足する可能性は少なさそうですね。

なおトリプトファンの過剰摂取は、無気力、吐き気、頭痛といった副作用が報告されています。

取り過ぎには注意していきましょう。

トリプトファン⇨セロトニンに進化

トリプトファンは「脳」にいくことでセロトニンに変化します。

ただし脳の関所「血液脳関門」を通過する必要があり、

トリプトファンの取り込みを促すためには「複合炭水化物も一緒に摂取するということが大事です。

小麦製品(パン、パスタなど)、小麦以外の穀類(ライ麦、トウモロコシなど)根菜類(ジャガイモ、サツマイモなど)に複合炭水化物は含まれています。

セロトニン⇨メラトニンに進化

「セロトニン」は「ビタミンB 12」の力を借りて、「睡眠ホルモン メラトニン」の分泌が促進されると言われております。

「ビタミンB6」という説もありますが、今回はスリーププランナーとしての基礎教材を元に解説いたします。

では、ビタミンB12はどの食材によく含まれているのでしょうか??

魚介類・海藻など、海の食材が多いですね。

トリプトファンと比較すると、少し不足しがちな栄養素かもしれませんね。

「少し不足しているかもしれない」という方は意識して摂取していきましょう。

まとめー睡眠はトータルバランスが大事ー

睡眠ホルモンがどのようにして作られていく過程が、なんとなく意識できましたか?

ただ繰り返しになりますが、「トリプトファン取ったからOK」「海藻たっぷり食べれば問題なし」ということはありません。

しっかりと取った栄養素の吸収のためには、腸内環境を整える必要があります。

また睡眠を構成する要素は「疲れたから寝る」ということがあることを忘れてはいけません。

食事・運動・メンタルなど込みで「良質な睡眠」が形成されるのです。

睡眠はトータルバランス

ぜひ食事をおろそかにしていたという方は、一度見直していただき、

今後の快眠つくりのヒントとしていただければ幸いです。

当院では東洋医学の知見を用いた治療に加えて、スリーププランナーと睡眠健康指導士として、あなたに合った睡眠の養生アドバイスをご提案をさせていただきます。

睡眠に関するお悩みをお持ちの方はぜひ気軽にご相談くださいませ。

※参考文献

·「健康·医療·福祉のための睡眠検定ハンドブック」 日本睡眠教育機構 全日本病院出版社

·「ビジネスに活かす睡眠資格 スリーププランナー」西野精治(著), 千葉伸太郎(著), 一般社団法人ブレインヘルスラボ

・「睡眠障害の対応と治療ガイドライン 第3版」 じほう

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