頭痛が原因で眠れない──そんな不眠に悩むあなたへ
「夜、頭がズキズキして眠れない」「寝ようとすると頭が痛み出してしまう」──
そんなお悩みを抱えていませんか?
実は、頭痛と不眠は密接に関連しており、双方が影響し合うことで悪循環に陥ることがあります。頭痛によって眠れず、睡眠不足がさらに頭痛を招く──このループから抜け出せず、薬に頼る日々が続いてしまう方も少なくありません。
本記事では、現代医学と東洋医学の両面から「頭痛による不眠」の原因と仕組み、そして鍼灸による根本的な改善法を詳しく解説します。
まずは理解したい「頭痛の種類」──現代医学の視点から
ひとくちに「頭痛」と言っても、その種類やメカニズムは多岐にわたります。現代医学では、頭痛は大きく「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分類されます。
一次性頭痛:慢性的で原因不明のことが多い
一次性頭痛は、はっきりとした器質的原因がなく、繰り返し起こるタイプです。
緊張型頭痛
- 頭を囲む筋肉の緊張や異常収縮により神経が刺激される
- 「締め付けられるような鈍い痛み」が特徴
- 誘因:ストレス、不良姿勢、運動不足、寒冷刺激
片頭痛
- 血管の拡張と炎症により起こる
- 「ズキンズキンと拍動するような痛み」+悪心や光過敏
- 誘因:気圧変化、ホルモン変動、食生活、睡眠の乱れ
群発頭痛
- 片側の眼の奥がえぐられるような激痛
- 同じ時間帯に1日1回、30分〜2時間続く
- 誘因:飲酒、気圧変動、体内時計の乱れ
二次性頭痛:生命に関わる深刻なケースも
頭痛の原因が明らかなものを二次性頭痛と呼びます。
- くも膜下出血:突然の強烈な痛み。「バットで殴られたような痛み」と表現される
- 脳腫瘍、髄膜炎、自己免疫疾患、外傷など ⇒ これらが疑われる場合は、早急に医療機関で精査が必要です。
東洋医学から読み解く「頭痛の根本原因」──体質と自然環境の関係
東洋医学では、頭痛の原因を「外感(がいかん)頭痛」と「内傷(ないしょう)頭痛」に分類します。
外感頭痛:自然環境が引き金となる

風寒頭痛(ふうかんずつう)
冷えが原因。収縮するような痛み・首背中の強張りを伴うことが特徴。
- クーラーの効いた部屋や寒い風で悪化
- 温めることで緩和するのが特徴
- 冷えに対する施術で改善を図る(大椎などのツボを用いる)
風熱頭痛(ふうねつずつう)
発熱や高温な気候により、熱が上昇して頭部に滞る。
- 炎天下や過労で悪化し、顔が赤くなり喉が渇く
- 熱を逃がす治療が有効(風池、曲池などのツボを用いる)
風湿頭痛(ふうしつずつう)
梅雨時期などの多湿な気候により生じる。頭を包み込むような重たい頭痛が特徴。
- 梅雨や雨天、湿気で起こる
- 頭の「重だるさ」が特徴
- 湿を排出する施術で改善を図る(水分・陰陵泉などのツボを用いる)
内傷頭痛:五臓の失調・気血バランスの崩れが原因

中気虚頭痛(ちゅうききょずつう)
消化器系の機能低下(主に脾・胃)でエネルギーが頭に届かない。だるい・何となくとした痛みが特徴。
- 疲れやすく、食欲不振も伴う
血虚陰損頭痛(けっきょいんそんずつう)
血や陰液が不足し、頭部へ栄養が届かない。シクシクとした持続的な痛みが特徴。
- 目のかすみ、めまいなども伴う
瘀血阻絡頭痛(おけつそらくずつう)
血行障害により、痛みが局所に強く出る。古傷や外傷性(どこかでぶつける)に多い。ピンポイントでズキズキとした痛みが生じる。
痰濁上蒙頭痛(たんだくじょうもうずつう)
水分代謝が滞り、余分な水分が頭部を圧迫するような痛みが生じる。ジャンキーな食べ物・暴飲暴食などの飲食の乱れで生じる。頭がボヤーとしたり、重だるいことが特徴である。
肝陽上亢頭痛(かんようじょうこうずつう)
ほてりにより、頭部へと熱が昇ことで、頭痛が生じる。ズキズキとした痛みが特徴。めまい、のぼせ、イライラ、不眠を伴いやすいが挙げられる。
不眠と頭痛の“負のループ”──その正体とリスク
睡眠と頭痛は相互に作用をしています。
●睡眠不足による自律神経の乱れが、頭痛を招く
●頭痛による不快感が入眠を妨げ、睡眠の質が低下
●夜中に頭痛で覚醒し、「眠れないストレス」が次の夜に持ち越される
⇒ この悪循環は、薬だけでは断ち切ることができません。頭痛の原因を見極めて、その原因に合った治療を行うことで症状の改善を図っていきます。
鍼灸によるアプローチ──自然治癒力を引き出し、体質から整える
鍼灸は、頭痛と不眠の両方に対して「根本的な改善」が期待できる施術法です。
●①自律神経のバランスを整える
- 鍼刺激によって交感神経と副交感神経の切り替えを促進
- 緊張を緩め、眠りやすい体質へ
●②筋緊張と血流を改善し、痛みの根源にアプローチ
- 首・肩・背中のコリを解消し、脳への血流をスムーズに
- 緊張型頭痛やストレス性頭痛に効果的
●③体質と季節に合わせた個別対応(以下は一例になります)
- 風湿タイプには「湿」を抜くアプローチ
- 風熱タイプには「熱」を冷ますアプローチ
- 血虚タイプには「血(栄養)」を補うアプローチ+養生指導⇒ 東洋医学に基づいたオーダーメイド施術が可能
頭痛で眠れない夜からの卒業──白楽で「眠れる体」へと整えよう
いかがだったでしょうか?
頭痛と不眠、どちらか一方だけを見ても根本解決にはなりません。両方の原因を理解し、「体質全体を整える」ことこそが改善への近道です。
横浜市神奈川区六角橋・白楽エリアの静かな環境の中で、不眠症に特化した鍼灸施術を受けてみませんか?
当院では、不眠と頭痛を同時に抱える方に向けて、以下のような多角的アプローチを提供しています:
- 丁寧な問診で体質と生活習慣を分析
- 自律神経調整を目的とした全身鍼
- 不眠に効くツボ(神門、失眠、百会など)と頭痛に効くツボ(風池、肩井、太陽など)の組み合わせ
- 自宅でできるお灸や呼吸法の指導
- 食事や入浴、就寝前のルーティン改善アドバイス
薬に頼らない、あなた本来の「眠れる力」を取り戻しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※参考文献
・『漢方用語大辞典」 燎原書店
・『中医症状鑑別診断学』人民衛生出版
·「健康·医療·福祉のための睡眠検定ハンドブック」 日本睡眠教育機構 全日本病院出版社
・「睡眠障害の対応と治療ガイドライン 第3版」 じほう
・『十四経発揮』 東医針法研究会編