☑︎「最近、夜中に何度も目が覚めるようになった」
☑︎「寝つきが悪くなった」
☑︎「以前より眠りが浅く、朝から疲れが取れない」
40〜50代になると、このような睡眠の悩みを感じる女性が増えてきます。
実は、更年期には約65%の女性が何らかの睡眠トラブルを経験するといわれています。

更年期の睡眠障害は、単に「年齢のせい」ではありません。女性ホルモンの変化やホットフラッシュ、気分の落ち込みなど、さまざまな要因が重なって起こります。
この記事では、更年期に眠れなくなる原因やよくある症状、今日からできる対策について、睡眠科学の視点からわかりやすく解説します。
更年期とは?
更年期とは、閉経をはさんだ約10年間(一般的には45〜55歳頃)を指します。
この時期は女性ホルモンである
- エストロゲン
- プロゲステロン
の分泌量が大きく変動し、その後徐々に減少していきます。
ホルモンの変化は体だけでなく、自律神経や脳の働きにも影響を与えるため、
- ほてり(ホットフラッシュ)
- 発汗
- 動悸
- 気分の落ち込み
- イライラ
など、さまざまな症状が現れます。
その中でも、多くの方が悩まされる症状の一つが「睡眠トラブル」です。
更年期によくある睡眠トラブルとは?

更年期では、次のような睡眠の悩みが増えることが知られています。
❶入眠障害
布団に入ってもなかなか寝つけません。
以前ならすぐ眠れていた方でも、「頭が冴えてしまう」「眠ろうとすると余計に眠れない」と感じることがあります。
❷中途覚醒
夜中に何度も目が覚めるタイプです。
トイレではないのに目が覚めたり、寝汗や暑さで起きてしまったりする方も少なくありません。
❸早朝覚醒
予定より2〜3時間も早く目が覚め、そのまま眠れなくなることがあります。
❹熟睡感がない
睡眠時間は十分なのに、
・「ぐっすり眠れた感じがしない」
・「朝から疲れている」
という状態になることもあります。
更年期になると眠れなくなる3つの理由
① エストロゲンの低下
更年期では、女性ホルモンであるエストロゲンが大きく減少します。
エストロゲンは体温調節にも関わっているため、分泌量が減ると
- ホットフラッシュ
- 寝汗
- ほてり
などが起こりやすくなります。
夜中に突然暑くなったり、大量の汗をかいたりすると、その刺激で目が覚めてしまいます。
睡眠中に何度も目が覚めることで、睡眠の質が低下し、翌日の疲労感にもつながります。
② プロゲステロンの低下
更年期では、プロゲステロンも減少します。
プロゲステロンは心身を落ち着かせる働きにも関係しているため、減少すると
- 不安
- イライラ
- 気分の落ち込み
が起こりやすくなります。
不安やストレスが強くなると、脳が興奮状態になり、寝つきが悪くなる原因になります。
③ 加齢によるメラトニンの減少
更年期だけでなく、加齢に伴ってメラトニンという睡眠ホルモンも減少していきます。
メラトニンは、
「夜になったから眠る時間ですよ」
と体に知らせる役割があります。
年齢とともに分泌量が減ることで
- 寝つきが悪い
- 深い睡眠が減る
- 朝早く目が覚める
といった変化が起こりやすくなります。
ホットフラッシュが睡眠を妨げる理由
更年期の睡眠トラブルで特に多いのが、ホットフラッシュによる覚醒です。
ホットフラッシュとは、
- 急に体が熱くなる
- 顔が赤くなる
- 汗が噴き出す
- 動悸がする
といった症状です。
数分で治まることが多いですが、人によっては20分以上続くこともあります。
眠っている最中に起こると、せっかく眠っていても目が覚めてしまい、その後なかなか寝付けなくなることがあります。
今日からできる更年期の睡眠対策

更年期の睡眠トラブルは、生活習慣を見直すことで改善が期待できる場合があります。
❶寝室を涼しく保つ
ホットフラッシュや寝汗がある方は、
- エアコン
- 扇風機
- 接触冷感シーツ
などを活用し、寝室を快適な温度に保ちましょう。
❷替えのパジャマを用意する
寝汗で目が覚めた場合は、汗で濡れた衣類のままだと不快感が続きます。
ベッドの近くに着替えを用意しておくと、睡眠への影響を減らせます。
❸カフェイン・アルコールを控える
コーヒーや緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、寝つきを悪くすることがあります。
また、アルコールは寝つきを良くするように感じても、夜中に目が覚めやすくなり、睡眠の質を低下させることが知られています。
❹大豆製品を取り入れる
豆腐や納豆、豆乳などに含まれるイソフラボンは、女性ホルモンと似た働きを持つとされています。
食生活の一つとして取り入れてみるのもよいでしょう。
❺オメガ3脂肪酸を意識する
青魚やアマニ油、えごま油などに含まれるオメガ3脂肪酸は、健康的な食生活に役立つ栄養素です。
毎日の食事に無理なく取り入れてみましょう。
❻朝日を浴びる
朝起きたらカーテンを開け、太陽の光を浴びましょう。
朝の光は体内時計を整え、夜のメラトニン分泌を促すため、睡眠リズムの改善につながります。
❼適度な運動を続ける
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を習慣にすると、睡眠の質の改善が期待できます。
激しい運動は就寝直前ではなく、日中〜夕方までに済ませるのがおすすめです。
病院ではどのような治療が行われる?
生活習慣を見直しても改善しない場合は、医療機関への相談も大切です。
治療には
- ホルモン補充療法(HRT)
- 睡眠薬
- 漢方薬
- 抗不安薬・抗うつ薬
などが選択されることがあります。
また、更年期では睡眠だけでなく、不安や抑うつが背景にあることも少なくありません。
必要に応じて婦人科や心療内科などと連携しながら治療を進めることで、睡眠が改善するケースもあります。
【まとめ】更年期の睡眠トラブルは一人で悩まないことが大切
更年期の睡眠トラブルは、多くの女性が経験する身近な悩みです。
その背景には、女性ホルモンの変化だけでなく、ホットフラッシュや気分の落ち込み、加齢による睡眠の変化など、さまざまな要因が関係しています。
まずは生活習慣を整えながら、ご自身の睡眠状態を見直してみましょう。
それでも改善しない場合は、婦人科や睡眠外来など専門の医療機関へ相談することも大切です。
もちろん当院にも更年期症状にお悩みの患者様は多くご来院され、「鍼灸」も選択のうちの一つとなります。
睡眠は心と体の健康を支える大切な土台です。
「年齢のせいだから」と我慢せず、適切な対策を取りながら、ご自身に合った方法で少しずつ睡眠環境を整えていきましょう。
【関連記事】東洋医学から更年期を知りたい方へ
今回は、更年期と睡眠の関係について睡眠科学の視点から解説しました。
一方で、東洋医学では更年期を「ホルモン」だけではなく、体質や気・血・水のバランスなどから考えます。
「自分の体質に合った養生法を知りたい」
「更年期を東洋医学ではどのように考えるの?」
という方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

【参考文献】
・「睡眠を科学する」 ヘザー・ダーウォル=スミス(著)・櫻井武(監修) 東京書籍
・「健康・医療・福祉のための睡眠検定ハンドブック」 日本睡眠教育機構 全日本病院出版会
