梅雨の不調・重だるさはなぜ起こる?東洋医学で読み解く“湿邪”とその対策

6月を迎え、日本列島が梅雨入りすると、どことなく体が重い、やる気が出ない、胃腸の調子が崩れるなど、「なんとなくの不調」を感じる人が増えます。

西洋医学では原因不明とされるこれらの症状。実は東洋医学では、“湿邪(しつじゃ)”という概念によって説明されます。

この記事では、東洋医学の視点から梅雨に起こりやすい体調不良の原因を詳しく解説し、今日からすぐ実践できる養生法(ようじょうほう)を紹介します。

ツボ、食材、生活習慣、心の持ち方まで、体の内外から梅雨に強い身体をつくるヒントをお届けします。


目次

東洋医学から見る梅雨時期の特徴と体調不良の原因

「湿邪」とは何か?東洋医学的視点

東洋医学では、暑い・寒い・乾燥しているなどの外界の気候が人体に悪影響を与える要因を「六淫(ろくいん)」と呼びます。

その中でも梅雨に特有なのが「湿邪(しつじゃ)」です。「湿度が高い」イメージを想像してください。

◎湿邪の特徴◎

  • 粘り気があり停滞しやすい
  • 重たく下半身に溜まりやすい
  • 脾(消化吸収を司る臓腑)を弱らせる

このような湿邪の性質が、様々な不調を引き起こすのです。

梅雨に多い不調のメカニズム

梅雨の湿邪により多くの人が感じる不調には、以下のようなものがあります:

  • 倦怠感・やる気が出ない
  • 胃もたれ・食欲不振・下痢
  • 頭重感・めまい・眠気
  • 足のむくみ・冷え・関節痛
  • 湿疹・皮膚トラブル

東洋医学では、梅雨時期に起きる不調の多くは「湿邪」に起因すると考えられています。

湿邪が溜まる場所によって異なる症状

前述の不調も、湿邪が”体のどこに溜まるか”で現れる症状が変わります。以下に代表的なパターンを紹介します:

  • 頭部に湿が溜まる:頭重感、めまい、集中力の低下、眠気
  • 胃腸に湿が溜まる:食欲不振、下痢、胃の張り、口の中がネバつく
  • 下半身に湿が溜まる:足のむくみ、だるさ、冷え、重さ
  • 関節に湿が溜まる:関節痛、節々の重だるさ、動かしづらさ
  • 皮膚に湿が溜まる:湿疹、痒み、水泡、じゅくじゅくした炎症

このように、湿邪は“万病のもと”ともいえる存在なのです。


梅雨を乗り切るための東洋医学的養生法

利湿を促す食養生

梅雨時期は「脾」を守り、余分な湿を体外に排出する食事が養生の鍵です。

袪湿(湿邪を疎通させ、汗や尿として排泄する効果)・利水などの効果のある食材がオススメです。

おすすめ食材

  • ハトムギ(ヨクイニン)・玄米:利水作用、むくみ解消
  • 冬瓜:清熱利水、体のこもった湿熱も抜く
  • 小豆・黒豆:利尿作用、むくみや疲労感に
  • さやいんげん・松茸・ふぐ:湿邪を、汗や尿として排出される効果が
  • 烏龍茶・コーヒー・プーアール茶

避けたい食材

  • 冷たい飲み物・アイス
  • 甘い物・脂っこい食事
  • 生野菜の過剰摂取

生活習慣の改善

  • 室内の除湿・換気をこまめに行う(湿度40〜60%)
  • 朝の白湯で体を内側(胃腸)から温める
  • 入浴で巡りを促進・ジワーッと汗をかく(ぬるめの湯に15分以上)
  • 軽めの運動で汗をかき、湿を体外へ排出
  • 冷房の直当ては避け、腹部と足元を冷やさない

心の養生で気の巡りを整える

湿邪は心の“気”の巡りも停滞させます。気分の落ち込みや憂うつ感は、以下の方法で整えましょう:

  • 朝日を浴びて体内リズムを整える
  • 雨の日は、お家時間を思いっきり楽しむ
  • 深呼吸・瞑想・日記でストレス解消
  • スケジュールに「ゆとり」を持たせる

利湿作用のあるツボでセルフケア

ツボ押しは誰でもできる、非常に効果的な東洋医学的セルフケアです。

以下のツボを1日3〜5分、左右とも押してみましょう。(せんねん灸のセルフケアがオススメです)

陰陵泉(いんりょうせん)→:利水・むくみ改善の代表的なツボ

ひざの内側の下にある太い骨(脛骨内側顆)の下にあるくぼみ

三焦兪(さんしょうゆ):利湿の代表的なツボ

第二腰椎の棘突起の下、脊柱の両側で指幅2本分のところ

水分(すいぶん):同様に水液代謝に関わるツボと言われています。

おへそから指1本分上のところ

よくある質問(FAQ)

Q. 湿邪って夏や冬にも影響するの?

A. はい。特に高温多湿の夏や、冬の冷湿環境でも体に影響します。

Q. 湿邪体質はどう改善すればいい?

A. 「脾を守る」「冷えない」「巡らせる」を日常習慣化することで、湿に強い体を作れます。

Q. 子どもや高齢者でも養生法は有効?

A. 非常に有効です。特に冷えやすく、胃腸が弱い世代は湿邪の影響を受けやすいため、食事・ツボ・衣服調整で守りましょう。


湿邪に負けない身体づくりで、梅雨を快適に乗り切ろう

梅雨の体調不良は、決して気のせいでも年齢のせいでもありません。

自然界の「湿」の影響が、確かに体の中でさまざまな不調を引き起こしているのです。

だからこそ、東洋医学の知恵を活かし、自分の体質や症状に合わせた養生を日々の暮らしに取り入れることが何より大切です。

今日からできる「小さな習慣」が、湿に負けない健やかな1年を支えてくれます。ぜひ、できることから始めてみてください。


また、セルフケアだけではカバーしきれない不調を感じる場合は、東洋医学のプロフェッショナルに相談するのもおすすめです。

横浜市神奈川区六角橋・白楽駅エリアにある鍼灸マッサージ院「如月」では、梅雨特有の不調や体質に合わせた鍼灸・指圧・食養生アドバイスを行っております。

梅雨の体調不良にお悩みの方、ぜひ一度気軽にご相談ください。

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