帯状疱疹とは?なぜ痛みが出るのか
帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、誰にでも発症する可能性のあるウイルス性疾患です。
原因となるのは「水痘・帯状疱疹ウイルス」というウイルス。
子どもの頃にかかった「水ぼうそう」と同じウイルスが、体内の神経節に潜伏し、何十年も経ってから再び活性化して起こります。
発症の引き金となるのは、主に免疫力の低下。
過労、強いストレス、睡眠不足、加齢などが重なると、身体の防御機構が弱まり、潜んでいたウイルスが再び活動を始めます。
初期症状としては、身体の片側にピリピリとした違和感や痛みが出現し、その後、帯状に水疱や赤みを伴う皮疹が現れます。
現代医学からみた帯状疱疹の仕組み

現代医学では、帯状疱疹はウイルスが神経節で再活性化し、神経線維に沿って皮膚へと広がることで、痛み・灼熱感・痒みなどが出現します。
症状は以下のように段階的に進行します。
- 皮膚に異常が出る前に、チクチク・ピリピリする痛みや違和感が出る
- 紅斑や水疱が帯状に出現し、強い痛み・灼熱感を伴う
- 水疱がかさぶた化し、皮膚が回復する
さらに、急性期の皮膚・神経の炎症が神経に強い損傷を与えたことによって生じる「帯状疱疹後神経痛」が出現することがあり、特に高齢者にリスクが高いとされています。
東洋医学が考える帯状疱疹の原因
東洋医学では、帯状疱疹は「蛇丹(じゃたん)」などとも呼ばれます。
書物では「肝胆湿熱(かんたんしつねつ)」や「血虚風燥(けっきょふうそう)」といった病理状態によって引き起こされるとされてきました。
主に、体内にこもった熱(熱邪)と湿気(湿邪)が結びつき、皮膚表面に炎症を生じるという考え方です。
これは現代的にいえば「免疫低下+炎症反応」が同時に起きている状態といえるでしょう。
代表的な東洋医学的分類は以下の通りです。
- 肝胆湿熱型:ストレスや怒りが多く、体内に熱がこもるタイプ。赤み・腫れ・強い灼熱痛を伴う。
- 脾虚湿盛型:胃腸が弱く、湿気が溜まりやすいタイプ。水疱が多く、重だるさや倦怠感を感じやすい。
- 血虚風燥型:慢性化傾向があり、皮膚の乾燥やピリピリする痛みを伴う。
このように東洋医学では、症状だけでなく、体質や生活習慣、ストレス、気血水のバランスを重視して診立てを行います。
帯状疱疹は「湿」や「熱」に関係するのか?
「湿」・「熱」とは、体内に余分な水分(湿)と熱が滞っている状態を指します。
これらが混合した「湿熱」は東洋医学で、炎症性疾患によく登場するキーワードです。
帯状疱疹では、初期に「熱感」「赤み」「灼熱痛」などの炎症症状が強く現れるため、多くが「湿熱タイプ」に該当すると考えられています。(発祥のトリガーは、気虚もあるので断定はできませんが…)
この湿熱が皮膚表面にまで達すると、水疱や腫れを生じ、強い痛みを発します。
例えば、
- 湿度の高い季節や気候
- 脂っこい食事・アルコールの摂取
- 睡眠不足やストレス
これらが続くと、体内の代謝が滞り、「湿熱」が蓄積しやすくなります。
つまり、帯状疱疹は身体のバランスが崩れたサインともいえるのです。
東洋医学における治療方針
東洋医学的な治療では、症状のステージに応じてアプローチが異なります。
- 急性期(炎症・水疱がある時期) 目的:清熱解毒・除湿・鎮痛 → 清熱(体の熱を冷ます)・解毒(炎症を鎮める)・涼血(血を冷やして熱を鎮める)といった手法が用いられます。
- 回復期(皮疹が乾燥し始めた時期) 目的:乾燥症状に対して潤いを与え(滋陰)、痛みを和らげる → 滋養といった”身体の保湿レベル”を上げるような鍼灸治療が中心となります。
それぞれの段階で、症状が異なってくることもあるので、使う経穴(ツボ)や手法も変わります。
帯状疱疹に用いられる主な経穴(ツボ)
帯状疱疹の急性期に「清熱解毒」「清利湿熱」作用があるとされる経穴には、以下のようなものがあります。
- 清熱解毒→委中(いちゅう)・温溜(おんる)・霊台(れいだい)など

・清利湿熱→陰陵線(いんりょうせん)・曲池(きょくち)など

実際の治療では、痛みの部位(胸部・顔面・背部など)や発症のタイミングを考慮して、経絡に沿った局所治療と全身調整を組み合わせて行います。
鍼灸治療の効果と注意点

帯状疱疹の痛みは「神経性の炎症」が背景にあるため、早期に鍼灸治療を開始することで、神経へのダメージを軽減できる可能性があります。
実際、国内外の研究でも、帯状疱疹に対する鍼灸治療の有用性が報告されています。
鍼刺激による鎮痛作用(エンドルフィン分泌促進)や、局所の血流改善によって、回復が早まるケースもあります。
ただし、水疱がまだ破れていない急性期や、発熱がある時期は刺激を控えるなど、タイミングを見極めた施術が大切です。
必ず専門の医師に相談しましょう。
体質改善と再発予防のために

帯状疱疹の再発はまれですが、免疫力が低下していると再び発症することがあります。
再発予防のためには、以下のような生活習慣が重要です。
- 十分な睡眠と休息をとる
- ストレスをためこまない
- 消化に良い食事を心がける(脂っこい・辛い・甘いものを控える)
- 季節や気候に合わせて身体を冷やさない
- 適度な運動で気血の流れを保つ
鍼灸治療は、単なる痛みの緩和だけでなく、「身体のバランスを整え、再発しにくい体質づくり」をサポートする点にも大きな価値があります。
実際の臨床現場から見えること
当院でも、帯状疱疹の痛みや神経症状を訴えて来院される方は多くいらっしゃいます。
中には皮疹が治った後もピリピリとした痛みが残り、夜も眠れないと訴える方もいます。
急性期に適切なケアを行うことで、後遺症が軽減されるケースは少なくありません。
特に発症初期の段階で「湿熱」を鎮め、その後の回復スピードに大きく影響します。
東洋医学の考え方では、身体の外に現れた症状は“内側の乱れの反映”です。
鍼灸を通じて身体のバランスを整えることが、結果的に皮膚や神経の健康につながると考えています。
帯状疱疹の痛みを軽減し、回復を早めるために

帯状疱疹は、現代医学的治療(抗ウイルス薬など)を基本としながら、東洋医学の鍼灸治療を併用することで、
痛みの軽減や回復促進、そして再発予防にもつながる可能性があります。
もし今、帯状疱疹の痛みや不安を抱えているなら、ぜひ一度、専門家に相談してみてください。
東洋医学的な視点から身体全体を整えることで、症状の軽減だけでなく、心身の回復をサポートできるはずです。
お悩みの方はぜひ気軽にご相談くださいませ。
横浜市神奈川区六角橋・白楽エリアの鍼灸マッサージ院 如月では、
あなたの体質に合わせた施術で、帯状疱疹をはじめとするお悩みを根本からケアいたします。
お悩みのある方は、ぜひ一度気軽にご相談くださいませ。
【参考文献】
- 『中医症状鑑別診断学』 人民衛生出版社
- 『中医証候鑑別診断学』 人民衛生出版社
- 『中医基本用語辞典』 東洋学術出版
- 『十四経発揮』 東医針法研究会編
