東洋医学から考える「いつも眠たい」5タイプ

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実は多い「日中の眠気」のお悩み

0〜50代における睡眠のお悩み。実は「眠れない」ことよりも「眠気」に悩まれる方が多いです。

皆様もこんな症状、心当たりありませんか??

☑︎昼食後に異様な眠気に襲われる

☑︎何だかいつも眠たい

☑︎身体がだるく無力感があり、知らず知らずの眠ってに入ってしまう

☑︎季節の変わり目に眠気が強くなる

☑︎意識が飛んだ

「いつも眠たい」という症状は東洋医学的な病証であり「嗜睡(しすい)」・「嗜臥(しが)」・「多寐(たび)」と言われます。

原因は、「頭部が養われない」こと。エネルギーが栄養が頭で不足してシャッキリしないイメージです。

我々鍼灸師は、「どうして頭部が養われなくなったのか?」を考えながら、生活習慣や心身の状態を考慮しつつ治療を行っていきます。

今回はこの「いつも眠たい」という症状について東洋医学的に解説をしていきたいと思います。

嗜睡(しすい)の中医学的5タイプ

①湿困脾陽(しっこんひよう)…水液ベタベタタイプ

「湿」が消化器が行う飲食物の消化・吸収の活動を邪魔してしまい

頭部へと運ばれるエネルギー・栄養が不足することにより生じる。昼夜問わず眠いことが特徴。

原因物質の「湿」は、❶甘いもの油の濃いものなどの飲食の不摂生・❷梅雨時期・❸湿気の強い住居に居住することなどで生じる。

(身体に出やすい症状)

頭が重い・四肢が重だるい・むくむ・食欲が減少・お腹のはり・口の中がネバネバする・大便はゆるい・舌にこけがベッタリしている(体の中が水浸しで重だるさ・ベタベタした症状が生じやすい)

「胃苓湯あるいは平胃散を主方」という書物における記載があります。
身体(特に脾)の湿(余剰水分)を取り除くためのツボを使用します。
陰陵泉・水分・三焦兪など

②心脾両虚(しんぴりょうきょ)…消化器ヨワヨワタイプ

消化器の働きが悪くなることによって、飲食物から必要なエネルギー·栄養を生み出せないこと・頭部へ供給できないことにより生じる。

原因の多くは、飲食の不摂生や考えすぎること。時折失血症状などに伴って。

このタイプの特徴は食後によく眠くなったり、疲労感が強まったりすることが特徴である。

(身体に出やすい症状)

顔色に彩りがない・動悸息切れ・食事量が少なくお腹を下しやすい・四肢に力が入らない・精神疲労・食事量が少ない

六君子湯·あるいは人参益気湯を主とする」
という書物による記載があります。
消化器のエネルギー不足症状(=消化・吸収能力)を整えるツボを
チョイスすることが多いです。足三里・脾兪・胃兪など

③腎陽虚(じんようきょ)…ヒエヒエタイプ

身体全体の陽気を消耗することが原因。

陽気は上(人体における頭部)に昇るという特性を有するが

陽気が不足してしまうと、頭が養われずにはっきりしない。

きっかけは、加齢・長患いにより体力が消耗することが原因である。

(身体に出やすい症状)

寒がり・下半身がむくむ・身体が重いだるい・足が冷える・精神疲労など

冷え症状がハッキリあらわれるのがこのタイプ。
全身の陽気(温める力)を高めるをツボを
チョイスすることが多いです。命門・関元など

④腎精不足(じんせいふそく)…加齢タイプ

働きすぎや加齢により身体が衰えることが原因。

髄海という頭の中を満たす物質(脳のイメージ)が消耗&満たされないことで眠気が生じる。

(身体に出やすい症状)

頭がくらくらする・精神疲労・耳鳴り・難聴など

髄海の原材料は「腎精」であると言われております。
腎兪・気海・志室などをツボを用いて
「腎」の機能を高めていきます。

⑤瘀血阻竅(おけつそきょう)…血流停滞タイプ

気血の運行がスムーズでなくなることで、

頭部へのエネルギー・栄養の供給が停滞することで生じる。

頭部外傷や過度の緊張状態によって身体の循環が停滞することが原因。

(身体に出やすい症状)

頭がズキズキ痛む(刺すような痛み)・舌が赤黒い

血流停滞を改善するツボを加えることが多いです。血海・隔兪など。

最後に

今回は「眠気」について東洋医学的に解説させていただきました。

当院では睡眠外来を受診し検査結果は問題なかったものの「眠気がある」といった理由で

ご来院なさる方が多数いらっしゃいます。

上記分類はほんの一握りですが、皆様のお身体の状態を把握し、眠気の原因を特定して治療を進めていきます。

体質・生活習慣の改善が必要なケースが多く、基本的には1~3ヶ月を1クールとして治療を行っていくことがほとんどです。

例外として1回の治療で改善したケースもございます。日中の眠気にお悩みの方はぜひ一度ご相談くださいませ。

※参考文献

『中医症状鑑別診断学』人民衛生出版

『中医基本用語辞典』東洋学術出版社

『漢方用語大辞典』

『十四経発揮』 東医針法研究会編

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