「睡眠の質を上げたい!」という声はたくさん耳にします。
質を上げるためにはまずは量が大切。そして自分にとって適切な睡眠時間を把握することが何よりも大切です。
睡眠不足の人にはこんな症状が現れます。
☑︎起床して4時間眠い
☑︎昼間に疲れを感じる・ダルい
☑︎帰りの電車やバスで居眠り
☑︎休日は平日よりも2時間寝る
心あたりがある方は要注意。見直してみるだけで日中の眠気など睡眠のトラブルが改善する可能性があります。
今回はこの記事を読んでいただいているあなたの適切な睡眠時間を知る方法について解説していきたいと思います。
必要な睡眠時間は「遺伝&年齢」で決まる
睡眠は年齢や遺伝の影響を強く受けるものと言われています。
「学生の頃は遅寝遅起きだったけれど、サラリーマンになって朝が早くなった」
「若い時には10時間くらい寝てたけど、年を重ねて7時間に落ち着いた」
という人は多いのではないでしょうか?
これは人間にとって自然な現象となります。一つずつ解説していきますね。
クロノタイプは遺伝子によって決まる
体内時計のリズムは、約300個の遺伝子の組み合わせにより個々に異なり、「朝型」・「夜型」・「中間型」のクロノタイプに分かれます。
朝型や夜型に極端に偏る人は少数で、多くの人は「中間型」に属します。
このクロノタイプを理解することで、自分のライフリズムや最適な睡眠時間が見えてきます。
「朝型」や「夜型」の傾向は遺伝的な要素が大きいです。
年齢によってクロノタイプは変化する
生体リズムをつかさどる体内時計は年齢によって変化し、10~20代には夜型の傾向が強いのに対し、40代以降は朝型へとシフトしていくのが一般的です。
「10代はオールでカラオケできてたけど30代に入ってからは眠くて無理…」という人は多いのではないでしょうか?
この変化に加えて、年齢と共に深いノンレム睡眠やレム睡眠の割合も減少するため、眠りが浅くなり夜中に目が覚めることも増えます。
「若い時によく寝れたのに、なぜ寝れなくなったのだろう」という声が聞こえますが、年を重ねていくにつれて朝型になること・必要な睡眠時間が減ることは自然なのです。
しかし、これも健常な加齢に伴う変化ですので過剰に心配する必要はありません。
過剰に気にしすぎると、睡眠への不安が不眠の症状につながることがあります。
そのため、不眠を訴える人は年齢と共に増加する傾向がありますが、自然なこととして受け入れることが大切です。安心してくださいね。
自称ショートスリーパーはただの寝不足
一番気をつけて欲しいことは「6時間睡眠を切ること」
「僕、ショートスリーパーなんで」と豪語して1日およそ5時間以下という睡眠時間を過ごす人が多い印象です。
ただショートスリーパーかどうかも遺伝によって決められています。
その確率は満員の東京ドームに1~2人程度。選ばれし超レアな遺伝子なのです。
そして訓練によって変えられるものではありません。
ショートスリーパーを自称する人は、睡眠不足の自覚症状が出にくい傾向があり、実際には短い睡眠で負担がかかり、将来的に健康を損なうリスクが高まります。
自覚症状がないために、「自分は睡眠が短くても平気」と思い込みやすいですが、実際には睡眠不足の可能性が高いのです。
将来的に健康を損なうリスクが高いので黙って6時間は寝ましょう。
自分のクロノタイプがわかるテスト
自分のクロノタイプがわかるテストとしては、
「ミュンヘンクロノタイプ質問紙(MCTQ)日本語版)」・「朝型夜型質問紙」などで正確に推定することができます。
自分のクロノタイプを知ることは健康管理だけでなく、仕事や勉強の生産性をアップできるためやったことのない方はぜひチェックしてみましょう。
また年齢とともにタイプも変化するため、定期的にテストで自分のクロノタイプを見直すことをオススメします。
今の自分に最適な睡眠時間を知る方法
次に適切な睡眠時間を把握する方法を二つ紹介したいと思います
❶就寝時刻を前倒しにしてみる方法
❷4日連続好きなだけ寝る方法(長期休暇限定)
方法①就寝時刻を前倒しにしてみる方法
平日・休日ともに同じ時間に起床することを意識し、まずは普段の就寝時刻より30分早く寝てみます。
(例:いつも0時就寝を23時30分就寝に)
2~3日間この習慣を続け、体調が良いと感じたらさらに15分早めていきます。
最もスッキリ起きられるタイミングが見つかれば、それが自分にとって十分な睡眠時間といえるでしょう。
方法②4日連続好きなだけ寝る方法
連休などまとまった休みが取れる時限定ですが、この方法もオススメです。
4日間ほど目覚ましをかけずに寝れるだけ寝てみましょう。
初日は通常よりも長く眠るかもしれませんが、2日目・3日目には自然に睡眠時間が安定し、4日目には「これ以上眠れない」と感じる時間がわかるはずです。
これが、今の自分に必要な睡眠時間です。
まとめ:最適な睡眠時間で睡眠負債の予防を
いかがだったでしょうか?
適切な睡眠時間を日々確保することで、眠りの質は上がり、睡眠負債をためずに済むようになります。
睡眠負債は健康の大敵。
そして必要な睡眠時間は人それぞれであり、年齢によって異なってきます。
クロノタイプを把握し、年齢による変化を理解しながら、ライフスタイルに合った睡眠習慣を身に付け、睡眠の質を高めていきましょう。
当院ではご来院いただいた患者様の睡眠状態の改善のために力を入れております。
「自力ではちょっとクロノタイプを診断できない…」というご相談でも対応させていただきますので
睡眠に関するお悩みの方はぜひ一度当院までご相談くださいませ。
※参考文献
·「健康·医療·福祉のための睡眠検定ハンドブック」 日本睡眠教育機構 全日本病院出版社
·「ビジネスに活かす睡眠資格 スリーププランナー」西野精治(著), 千葉伸太郎(著), 一般社団法人ブレインヘルスラボ
・「睡眠障害の対応と治療ガイドライン 第3版」 じほう
・「今さら聞けない 睡眠の超基本」(今さら聞けない超基本シリーズ) 柳沢 正史 朝日新聞出版