いびきの原因と対応方法ー現代医学と東洋医学(ツボ)からー

「グオー」といういびきの音。実は、ただの熟睡サインではなく、健康リスクの可能性が潜んでいます。

今回は、いびきの仕組みと原因、そして現代医学と東洋医学の視点からその解決策をお伝えします。


目次

いびきのメカニズム

いびきは、息を吸い込む時に、狭くなった喉の軟部組織が振動することによって生じます。

特に仰向けで眠ると、筋肉がリラックスして舌の付け根が沈み込み、気道が狭くなることによって起こりやすくなります。

さらに、以下の要因が加わることで症状が悪化します。

  • 疲労や飲酒
  • 肥満
  • 喫煙
  • 鼻詰まりや口呼吸

たががいきびですが、「されどいびき」

規則正しい呼吸は健康上の問題にならないのですが、いびきの裏には病気が潜んでいる場合があるため注意が必要です。

特に睡眠時に呼吸が止まる 睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、脳梗塞・脳出血・心筋梗塞の合併症リスクが伴う可能性があることが各種報告されています。


現代医学的視点:いびきの原因と対策

いびきの主な原因は以下の通りです。

  1. 気道の狭まり
  2. 口呼吸

そして、1・2を構成する要素を考慮して、対策をとっていく必要性があります。

原因別の改善方法

アルコール摂取:喉や舌の筋肉が緩み、軌道が狭くなります。空気の通り道が狭まり、いびきが生じやすくなります。控えることで、筋肉の緩みを抑えられますが、少なくとも寝酒は控えましょう。

肥満の場合:過剰な体脂肪が蓄積され、首・喉・舌の脂肪も増えて気道を圧迫してしまいます。ダイエットに取り組むことで気道の圧迫を軽減します。

・仰向け寝の場合:顔を向ける姿勢で舌元は喉に沈むこみがちに。「横向き」で眠る工夫(抱き枕や横向き用枕の活用)がおすすめです。

・鼻詰まりや口呼吸の場合:鼻が詰まっていると口呼吸になり、口の中は乾燥しがちに。同時に喉の緊張も弱まるため、気道が狭くなりやすい。点鼻スプレーや口呼吸防止テープの使用を検討し、日中も鼻呼吸を意識しましょう。

マウスピースの活用

また日本人は顎が小さいという骨格の構造上、肥満や飲酒などでいびきをかきやすいとされております。

病院などで「下顎を前上方に上げるようなマススピース」を処方され、着用することで一定の効果があるとの報告があります

東洋医学的視点:いびきの原因とアプローチ

東洋医学では、いびきは「鼾眠(かんみん)」と呼ばれ、

睡眠中、気道に何らかの停滞が生じた結果、呼吸が荒々しくなり、時に止まり、時に持続する症状である。

五臓六腑のバランスの乱れから発生しますが、主な原因は五臓「肺」の不調にあると考えれています。

肺系が詰まることは、気道の詰まりを生じさせるために、いびきは必ず発作すると言われています。

いびきの4つのタイプと治療

肺気失宣(はいきしっせん)-パワー不足タイプ-

肺の宣発作用(イメージは息を吐く力)が低下することで生じる。鼻は肺に通じるため、肺の気の散布機能が低下することで鼻が詰まり、いびきが生じる。乾燥した空気や疲労の働きを弱める原因となる。

主に見られる症状:鼻詰まり・喉の違和感・力が弱い軽い咳

治療法:宣肺散邪・通穴利咽(肺を整え、気道を開く)

治療によく用いるツボ中府・雲門・列欠など

セルフケアには「中府(ちゅうふ)がオススメ」鎖骨外端の下方の陥凹部です。

痰熱閉肺(たんねつへいはい)-熱タイプ-

発熱・暴飲暴食などで生じた体内の熱が、体内の液体物質の水分を飛ばして形成された痰が気道を狭めることが原因である。そのほかにも、鬱鬱とした気分が長時間続いた結果、爆発するなどストレス因子も原因となる。呼吸もスムーズに行いにくい。

主に見られる症状イビキはカミナリのような「ゴロゴロ」音・痰の音で喉がヒューヒュー鳴りがち・胸肋部がスッキリしない違和感がある・痰が黄色くネバネバしている&吐き出しにくい・口が乾くなど。

治療法:清金化痰(痰を取り除き、熱を冷ます) 

治療によく用いるツボ膻中・華蓋

セルフケアには「膻中(だんちゅう)」がオススメ。指でグーっと押してみましょう。

脾虚湿(ひきょしつ)-消化器虚弱タイプ-

もともと消化器が弱く、飲食物の消化・吸収の力が弱いタイプに多い。味の濃い・甘い・油濃いものなど過食など飲食の不摂生によって、飲食物の消化吸収能力が低下した結果、ベタベタな水液物質が形成される。は肺へと及ぶことで、呼気が阻害されてしまい、いびきとなる。

・よく見られる症状:「ゼロゼロ」という呼吸音・痰が多い・舌にベッタリした苔がある・ふくよかな体形・日中の眠気が強い

治療法:健脾益気・燥湿化痰(胃を元気に・余分な水分や痰を取り除いて体をスッキリさせること)

治療によく使うツボ:解渓

セルフケアには「解渓(かいけい)」がオススメ。内くるぶしと外くるぶしのちょうど真ん中あたりにあります。

瘀血阻滞(おけつそたい)-血流停滞タイプ-

停滞により、生じた瘀血が、鼻や喉の通り道を狭めてしまうことでにいびきが出現する。血流停滞の原因は、ぶつけるなどの外傷・ストレス・運動不足など多岐にわたる。

主に見られる症状:呼吸時に痛みを伴う場合ある。舌が紫色。

治療法:活血化瘀通竅(血流を促進し、滞りを改善する)

治療によく使うツボ小海

セルフケアにオススメのツボは「小海(しょうかい)」肘の内側のシワ先端にあります。

最後に:自覚がないからこそ早期発見が大事

これまで現代医学・東洋医学双方の観点から「いびき」の原因・対応法について解説いたしました。

いびきの恐ろしいのは「自覚症状」がないこと。つまり、一人であれば気づくことはなかなかありません。

スマートフォンアプリでいびきのチェックを行う

パートナーや家族にいびきをしているか確認する。

いびきの有無を確認するには、この2つは有効ではないでしょうか?

いびきや呼吸停止を指摘することは、パートナーや家族にとってデリカシーがないことではありません。

むしろいびきがうるさいのに我慢している可能性もあるので、ぜひ一度ご家族・パートナーに聞いてみましょう。

健康リスクを早期に発見できます。睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、医療機関での診断を受けましょう。

いびきは放置せず、健康への第一歩を!

いびきが気になる方、何から始めたらいいかわからないという方はぜひ当院まで一度ご相談くださいませ。


※参考文献

·「健康·医療·福祉のための睡眠検定ハンドブック」 日本睡眠教育機構 全日本病院出版社

·「ビジネスに活かす睡眠資格 スリーププランナー」西野精治(著), 千葉伸太郎(著), 一般社団法人ブレインヘルスラボ

・「睡眠障害の対応と治療ガイドライン 第3版」 じほう

・「今さら聞けない 睡眠の超基本(今さら聞けない超基本シリーズ)  柳沢 正史 朝日新聞出版

・『漢方用語大辞典」 燎原書店

『中医症状鑑別診断学』人民衛生出版

『十四経発揮』 東医針法研究会編

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