”寝違え”とは?
先日、寝違えの症状で患者さんが来院されました。
寝違え——中国では「落枕(らくちん)」と書き、文字通り「枕から頭が落ちてしまったような姿勢」を由来とする表現です。
寝ている間の不自然な姿勢によって、首や肩まわりに過剰な負担がかかり、朝起きると首がまわらなくなってしまう。
誰にでも起こりうる不調ですが、東洋医学ではこの「寝違え」にもいくつかのタイプが存在すると考えられています。
東洋医学で見る「頸部の痛み」4タイプ
「頸部の痛み」という視点では、4つのタイプに分類されます。
気温の変化で頸部の循環が悪くなること・外傷や姿勢などが原因のものが主に中医書では記載されています。
ちなみに1つのタイプだけでなく2つ重なることも臨床上は多いです。

風湿タイプ(湿気タイプ)
湿度が高く、身体の巡りが悪くなりやすい梅雨〜初夏や、冷房で冷えた状態が続いたときに起こりやすいタイプです。
・首や肩の強張り
・悪寒と発熱(発熱後も汗は出るが熱は下がらない)
・頭や体が重だるい
風熱+痰タイプ
風邪をひいた後や、脂っこい食事・寝不足などが引き金になることが見られます。
・首の両側が硬く白く腫れる/悪化すると赤くただれる
・舌は紅く、苔は黄色、脈は弦数
捻挫タイプ
急に振り向いた、重たい荷物を持ち上げたなど「瞬間的に首や背中に負荷がかかった」ことが原因になります。
・肩や背中まで痛みが広がる
・動かすと痛い
・悪化すると深呼吸や咳・くしゃみでも痛みを感じる
寝違えタイプ
睡眠中の姿勢不良や、硬すぎる/柔らかすぎる枕など、睡眠環境によるストレスが背景にあります。
・肩や背中に痛みが広がる
・動かすと痛い
応急処置におすすめのツボ:「落枕(らくちん)」
来院までの間、少しでも楽になりたい…という方におすすめしたいのが、寝違えに効くとされるツボ「落枕(らくちん)」です。

手の甲側、中指と人差し指の間の付け根あたり。押すと響くような感覚があるポイントです。
このツボは、指で軽く押す・千年灸をすえるなどの方法でも、痛みの軽減が期待できます。
来院前の応急処置としてぜひご自身で試していただきたいです。
最後に:寝違いにお悩みの方はぜひご相談下さい
「寝違い」とツボ「落枕」、いかがだったでしょうか?
実際に先日の患者さんにもこのツボに強い反応(圧痛)が見られ、初回の施術に加え、風湿タイプへの対応を行ったところ、2回目には約9割の回復が確認できました。
”遠道刺”という手法を用いる(今回で言うと、首の症状に関連する手のツボを用いる)と比較的早期に改善する印象です。
お困りの方は、ぜひ一度当院までご相談下さいませ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
睡眠に不安がある方、お悩みの方は、ぜひ横浜市神奈川区六角橋・白楽の「鍼灸マッサージ治療院 如月」へご相談ください。
当院では、東洋医学の伝統的な知見と最新の睡眠科学の視点を組み合わせ、一人ひとりの体質や症状に合わせた最適なケアをご提案いたします。
ぜひ、専門的な視点から身体を整え、快適な眠りを手に入れるお手伝いをさせてください。
あなたの大切な睡眠時間をより良いものにするために、心を込めて治療にあたります。
※参考文献
・『漢方用語大辞典』 燎原書店
・『中医症状鑑別診断学』 人民衛生出版
・『十四経発揮』 東医針法研究会編