手足の汗に悩む方へ──東洋医学と鍼灸の視点から考える解決法

目次

手足の汗は身体の異常サイン?東洋医学で見るその正体とは

「緊張すると手のひらがびっしょり濡れる…」

「夏場は足裏が蒸れて靴が大変なことに…」

このように、手足だけに大量の汗が出るという悩みを抱える方は少なくありません。

西洋医学では「局所性多汗症」と診断されることがありますが、東洋医学では「手足汗出(しゅそくかんしゅつ)」と呼び、体質や臓腑の乱れを知らせる重要なサインと考えます。

本記事では、

・手足の汗はなぜ出るのか

・東洋医学ではどのように捉えるのか

・鍼灸治療でどう改善が期待できるのか

・日常生活で取り入れたいセルフケア

を詳しく解説します。

胸汗・脇汗シリーズに続く第3弾として、局所的な発汗に悩む方へ「根本から整える」ための情報をお届けします。


手足の汗とは?東洋医学の視点から解説

東洋医学では、手足から出る汗を「手足汗出」と表現します。

古典には「胃は四肢を主り、手足の汗が出る者は陽明の証である」と記されており、

脾胃(消化器系)の働きが乱れることで手足の発汗が増えるとされています。

つまり、手足の汗は単なる皮膚のトラブルではなく、内臓(五臓六腑)機能のバランスの乱れが原因と捉えられてきたのです。


手足と五臓の関係性|「脾」と「胃」がカギを握る

東洋医学では「五臓六腑」が身体のバランスを司ります。

手足の汗に関わるのは特に

  • 脾(ひ):飲食物からエネルギーを取り出し、全身に運ぶ臓腑
  • 胃(い):食物を受け取り、消化を行う臓腑

この2つと深く関わっています。

脾胃が弱ると、気・血の生成や水液代謝がスムーズにいかず、水分が手足に汗として漏れ出ると考えられています。


手足汗の東洋医学的「3大タイプ」|あなたはどの体質?

手足の汗には、大きく分けて3つの体質タイプがあります。

脾胃湿熱(ひいしつねつ)タイプ|余分な水分と熱がこもる

◎どんな状態?

飲食の不摂生や湿気が原因で体内に余剰な水分がたまり、停滞した水分が熱を帯びて蒸され、手足にあふれ出すタイプ。

◎原因の例

  • 脂っこい食事や甘い物の過剰摂取
  • アルコールや冷たい飲み物の取りすぎ
  • 高温多湿な環境での生活

◎症状の特徴

  • 大粒の汗が手足に出る
  • 上腹部の重だるさや痛み
  • 口がネバネバする
  • むくみや体のだるさ

◎養生のポイント

  • 揚げ物・甘い物・アルコールを控える
  • 湿気対策(除湿機や換気)を行う
  • 適度な有酸素運動で代謝を促す

◎使用されるツボ

  • 陰陵泉(いんりょうせん)
  • 豊隆(ほうりゅう)
  • 内庭(ないてい)など
膝の内側、太い骨(脛骨内顆)のすぐ下のくぼみに位置するツボ

脾胃気虚(ひいききょ)タイプ|エネルギー不足で代謝低下

◎どんな状態?

疲労や暴飲暴食によって消化器の働きが弱まり、水分を処理する力が落ちた状態。余剰な水分が汗として手足に漏れ出す。

◎原因の例

  • 長期の疲労や睡眠不足
  • 冷たい飲食のとりすぎ
  • 運動不足

◎症状の特徴

  • サラサラとした汗が続く
  • 疲れやすい、倦怠感
  • 食欲不振
  • 顔色が悪い、むくみ
  • 下痢や軟便傾向

◎養生のポイント

  • 温かい消化に優しい食事を中心に
  • 適度に体を動かし代謝を助ける
  • 夜更かしを避け、睡眠時間を確保する

◎使用されるツボ

  • 足三里(あしさんり)
  • 三陰交(さんいんこう)
  • 中脘(ちゅうかん)
膝のお皿の外側から指4本分下、前方の脛(すね)の骨の外側にあるくぼんだ場所

脾胃陰虚(ひいいんきょ)タイプ|体を潤す力が不足する

◎どんな状態?

体の潤い(陰液)が消耗され、相対的に内熱がこもって汗が出る状態(ほてり症状が強い)。

◎原因の例

  • 辛い物・香辛料の摂りすぎ
  • 慢性の消耗性疾患(大病)
  • 更年期症状など加齢

◎症状の特徴

  • 手足のほてりと汗
  • 強い口渇
  • 便秘
  • 体がやせてきた
  • 寝汗、ほてり

◎養生のポイント

  • 辛い物やアルコールを避ける
  • 白きくらげ・梨・山薬など潤す食材を摂る
  • 睡眠をしっかりとり、陰液を養う

◎使用されるツボ

  • 復溜(ふくりゅう)
  • 気海(きかい) など
内くるぶしの最も高い位置から指3本分ほど上がった、アキレス腱のキワ

よくある質問(FAQ)

Q. 市販の制汗剤で手足の汗は抑えられますか?

A. 一時的な効果はありますが、根本的な改善にはなりません。東洋医学をはじめとする体質改善へのアプローチがです。

Q. 鍼灸は本当に手足の汗にも効果がありますか?

A. はい。実際に症状が改善し、日常生活が楽になったと感じる方が多くいます。

Q. 痛みや副作用はありますか?

A. 細い鍼を使用するため痛みはほとんどなく、むしろリラックスして眠ってしまう方もいらっしゃいます。副作用はほぼありません。


手足の汗も身体のSOSかも?|東洋医学で根本から整える

手足の汗は「脾胃の乱れ」を知らせる体のSOSかも知れません。

生活改善に鍼灸治療を組み合わせることで、発汗バランスを根本から整えることが可能です。

「病院で異常はないと言われたのに、手足の汗だけ止まらない」

そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。

横浜市神奈川区六角橋・白楽エリアの鍼灸マッサージ院 如月では、

あなたの体質に合わせた施術で、局所的な汗のお悩みを根本からケアいたします。

「汗が止まらなくて困っている」――そんなお悩みのある方は、ぜひ一度気軽にご相談くださいませ。



【汗シリーズ 関連記事はコチラ】

▼シリーズ第1弾(胸の汗)

▼シリーズ第2弾(脇の汗)


【参考文献】

・『中医基本用語辞典』 東洋学術出版

・『漢方用語大辞典』 創医会学術部

・『中医症状鑑別診断学』 人民衛生出版社

・『中医証侯鑑別診断学』 人民衛生出版社

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