東洋医学で読み解く「足のむくみ」

ここ数日、「むくみ」のご相談をいただく機会が増えました。

たかがむくみであり、されどむくみ。同じ浮腫でも原因によって場所・むくみ方に違いが生じます。

今回は東洋医学の視点から“むくみ”について記事にしてみます。

目次

「むくみ」は水のめぐりの停滞から

東洋医学では、むくみのことを「浮腫(ふしゅ)」や「水腫(すいしゅ)」と呼びます。

これは、体内の“水分”がうまくめぐらず、ある場所に停滞してしまうことで生じると考えられています。

この水液を全身にめぐらせるために働いているのが、「肺(はい)」「脾(ひ)」「腎(じん)」の3つの臓腑です。

  • :水分を身体の上から下、内から外へとめぐらせます。ここが弱ると顔や手のむくみが出やすくなります。
  • :食事から得た水分を身体に送り届ける“吸収と運搬”の働き。ここが弱ると腹部の張り感や手足のむくみに。
  • :水分を「尿」として排出する機能を持ち、全身に水液を再配分しています。ここが弱ると下半身、とくに足のむくみが目立ちます。

むくみのタイプと東洋医学的分類(+セルフケア&ツボ)

ここでは、中医書に記載してある6パターンについて解説します。上述のように「肺」・「脾」・「腎」の失調が多いことがわかるかと思います。

風寒襲肺浮腫(ふうかんしゅうはいふしゅ)タイプ

寒冷刺激により肺の働きが低下することで、水液を輸送する力が低下した結果、むくみが出現する。

  • 特徴:寒冷刺激で悪化しやすい。小便の量も少ない。顔・まぶた・手の甲など上半身のむくみが中心。その後、四肢や全身がむくむ。
  • セルフケア:冷たい空気を吸い込まないようマスクやストールで防寒を。
  • 治療でよく用いるツボ中府、風池など
「中府」は鎖骨の下、第一肋間

風熱犯肺浮腫(ふうねつはんはいふしゅ)タイプ

発熱や感染症など「熱」に伴い肺の機能が低下した結果、水液の輸送する力も低下しむくみとなる。

  • 特徴:咳、喉の腫れ、急な顔のむくみやまぶたの腫れ、のぼせ感を伴うことも。
  • セルフケア:温かくして発汗すること。十分な睡眠と水分補給を。
  • 治療でよく用いるツボ曲池、魚際など
肘を曲げたときにできるシワの外側端

水湿困脾浮腫(すいしつこんぴふしゅ)タイプ

湿気や食生活の不摂生による消化機能の低下で水の消化・吸収能力の低下によって起こるむくみ。

  • 特徴:おなかの張り感・四肢のむくみなどが見られ、重だるさが出やすい。
  • セルフケア:甘いもの・冷たい飲食・生ものを控え、温かく消化に良いものを。ジャンクフードも極力控える
  • 治療でよく用いるツボ陰陵泉、食竇、三焦兪など
陰陵泉」はすねの骨(脛骨)の内側面の下端から指2本分下です

脾陽虚浮腫(ひようきょふしゅ)タイプ

冷えや蓄積された疲れによる脾の機能低下によるむくみ

  • 特徴:下半身や腹部のむくみが中心で、押すと跡が残るようなむくみ方。
  • セルフケア:白湯や生姜湯をこまめに飲む。腹巻きや湯たんぽなどでお腹を温める習慣を。
  • 治療によく用いるツボ気海、意舎など
おへそから指2本分下の腹部中央

腎陽虚浮腫(じんようきょふしゅ)タイプ

加齢などによる腎の働き低下で、足から全身にむくみが広がる。年齢を重ね寒がりになるイメージ。

  • 特徴:下半身(特に足首以下)のむくみが強い。冷え・疲労感・トイレが近い/少ないなども。
  • セルフケア:黒豆、黒ゴマ、山芋、海藻など腎を養う食材を。足元を特に冷やさないように心がける。
  • 治療によく用いるツボ太渓、命門、腎兪など
内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみに位置

気血両虚浮腫(きけつりょうきょふしゅ)タイプ

体力低下・栄養不足などが原因。

  • 特徴:顔や手足のむくみが中心で、疲労や息切れを伴う。
  • セルフケア:無理をせず、栄養のある温かい食事を少量ずつ。黒米・棗(なつめ)・鶏肉・カボチャなどで気血を補う。
  • 治療でよく用いるツボ膏肓、気海など
膏肓」 は上背部、第4胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸

最後に:むくみと向き合うには

むくみは、ただの「水分の溜まり」として片づけず、「どこが弱っているか」「なぜめぐりが滞っているのか」を知ることが大切です

足のむくみひとつをとっても、肺・脾・腎の状態や、冷え・湿気・疲れなど多くの要因が関わっているのです。

足のむくみがなかなか取れない、夕方になるとパンパンに張ってくる、朝起きたときから重だるい… そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。

鍼灸マッサージ治療院 如月では、東洋医学の診察法(舌・脈・腹診)を用いながら、あなたの体質と今の不調に合わせたオーダーメイドのケアを行います。

「むくみやすい体質」を根本から見つめ直し、身体のめぐりを整えてみませんか?

最後までお読みいただきありがとうございました。


睡眠に不安がある方、足のむくみなどでお悩みの方は、ぜひ横浜市神奈川区六角橋・白楽の「鍼灸マッサージ治療院 如月」へご相談ください。

当院では、東洋医学の伝統的な知見と最新の睡眠科学の視点を組み合わせ、一人ひとりの体質や症状に合わせた最適なケアをご提案いたします。

ぜひ、専門的な視点から身体を整え、快適な眠りを手に入れるお手伝いをさせてください。
あなたの大切な睡眠時間をより良いものにするために、心を込めて治療にあたります。


※参考文献
・『漢方用語大辞典』 燎原書店
・『中医症状鑑別診断学』 人民衛生出版
・『十四経発揮』 東医針法研究会編

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