「喉に何かが引っかかっている感じがして、でも何も出てこない」
「飲み込もうとしても、吐き出そうとしても取れない」
「病院で検査をしても異常なし。だけど違和感は消えない」
こうした喉の違和感に悩まされた経験はありませんか?
実は最近、当院をご利用される患者さんに多い症状です。
病院で検査をしても、明確な原因が見つからず「気のせいです」と言われた…。
そんな方は、東洋医学でいう「梅核気(ばいかくき)」の可能性があります。
この記事では、東洋医学の視点から梅核気の原因・症状・治療法について詳しく解説し、喉のつかえ感に悩む方へのヒントをお届けします。
梅核気とは何か?──「喉に梅の種がつまったような」感覚の正体

梅核気(ばいかくき)は、東洋医学における病名で、「喉に梅の種がつまっているかのような異物感」が特徴です。咳き込んでも、飲み込もうとしても、吐き出そうとしても取れない──そんな不快感が続く状態を指します。
古くから東洋医学では独自の視点でアプローチしてきました。
現代医学では「咽部神経症」に類似しており、典型的な症状は以下のとおりです。
- 喉に何かが詰まっている感じがする
- 吐いても飲み込んでも取れない
- 実際には異物は存在しない
- 胸の痛みや胸苦しさを伴うことがある
- 不安感やイライラ、情緒不安定など精神的症状を伴う場合がある
『古今医鑑』や『金匱要略』に見る梅核気の記述

古典医学書である『古今医鑑』では、梅核気について「喉に梅の種があるかのような感覚があり、吐き出そうとしても出ず、飲み込もうとしても入らない病症」と記述されています。
また『金匱要略』婦人雑病篇にも、「咽中に炙縒(しゃくしょ)有るが如き」と記されており、「咽中(のどの奥)に何かが絡まっているような感覚」が重視されていることがわかります。
【中医学的視点】梅核気の東洋医学的な分類と治療方針(弁証論治)
東洋医学において「梅核気(ばいかくき)」は、主に「肝気鬱結」と「痰気鬱結」の両者が交わって発生するとされますが、臨床ではさらに詳細な弁証分類が必要とされます。
以下に代表的な3つの証型とその治療原則を示します。
いずれも「感情との連動性」が多くの場合あるとの記載があります。
肝気鬱結による梅核気
全身の気の動きを伴う五臓「肝」のトラブル。 飲み込む(下)・吐き出す(上)の昇降異常。
情志抑鬱(ストレス・イライラ)を契機に、咽喉に異物感(梅核様)、吐き出せず飲み込めず、時に発作性に消失する。
- その他の症状: 頭のクラクラ・お腹の張り・怒りっぽくなる・ため息が出るなど。
- 治法: 疏肝理気
- 代表的なツボ: 太衝・膈兪・期門など

痰気鬱結による梅核気
咽中に粘り気のある異物感、喉がつまる感じがする。背後には五臓「脾」のトラブル。水液代謝の異常に伴い粘稠性の高い物質が出現。(ベタベタした痰のイメージ)。
- その他の症状: 胸部のだるさ・痰が多い・舌の苔の量が厚いなど
- 治法: 化痰宣中・化痰清熱
- 代表的なツボ:脾兪・彧中・上かん

肺熱陰虚による梅核気
全身の気の動きを担う五臓「肺」のトラブル。
気候などから肺が影響を受けて、肺が潤いを失うことで咽喉を潤すことが出来なくなって起こるもの。
乾燥によるものが多い。
- その他の症状: 喉の乾燥感・乾いた咳・ほてり・寝汗など
- 治法: 宣潤肺清熱
- 代表的なツボ: 中府・天突・膻中など

「喉のつかえ」は心と体からのサイン──梅核気を理解して、健やかな日常を

梅核気という東洋医学の概念は、単なる「喉の違和感」ではなく、心と体のバランスの乱れからくるサインとして捉えられています。
気の巡りが滞り、感情がうまく発散されず、痰湿や乾燥といった内的要因が絡み合うことで生じるこの症状は、まさに心身が発するSOSとも言えるでしょう。
喉のつかえが慢性化している、原因がわからず不安が続いている──
そんなときは、ぜひ「梅核気」という視点を思い出してください。
体の内側だけでなく、心の状態にも目を向けることで、根本からの改善が期待できます。
「喉がつまる」という感覚の裏には、あなた自身の気持ちや体調が反映されているのかもしれません。
東洋医学的なアプローチを取り入れて、心も体も軽くなるようなケアを始めてみましょう。あなたの健やかな毎日を取り戻すための一歩となるはずです。
横浜市神奈川区六角橋・白楽エリアにある「鍼灸マッサージ院 如月」では、
あなたの体質・症状に合わせた丁寧なカウンセリングと施術を通じて、梅核気をはじめとする心身の不調を東洋医学的にケアしております。
お悩みをお持ちの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
【参考文献】
- 『中医基本用語辞典』 東洋学術出版
- 『漢方用語大辞典』 創医会学術部
- 『中医症状鑑別診断学』 人民衛生出版社
- 『中医証侯鑑別診断学』 人民衛生出版社
- 『十四経発揮』 東医針法研究会編
